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ドローン産業、中国製部品への依存
日本のドローン産業に変化の波 製造業大手の参入で国産化が加速
スモールビジネス中心の構造と中国製部品への依存
日本のドローンメーカーの多くはスモールビジネス規模であり、オープンソースのフライトコントローラーやカーボンパイプ製のフレーム、市販のモーターやプロペラを組み合わせて機体を製造してきました。
しかし、必要なロット数の確保やコスト面の課題から、これまで多くの部品を中国製に依存していたのが実情です。
一方で、地政学的リスクの高まりを背景に、安全保障や重要インフラを担う機関では「非中国製」への移行が求められつつあります。米国ではDJI製品の輸入禁止が議論されており、中国側でもバッテリーやモーターの輸出規制が強化されるなど、サプライチェーンの不安定化が進んでいます。
「Japan Drone 2025」で見えた製造業大手の存在感
こうした背景を受け、日本の大手製造業がドローン部品製造への参入を進めています。
2025年6月に開催された「Japan Drone 2025」では、以下のような大手企業の出展が注目を集めました。
・エクセディ:独自形状の高効率プロペラとモーター

・JTEKT:フライトコントローラーやリチウムイオンキャパシタを出展

・三井化学グループ・アーク:独自素材を用いたプロペラの量産化に取り組み

・ニデック:汎用モーターやAI搭載ESCを展示(SkydioやZiplineなど海外企業への供給実績あり)

さらに、過去にはデンソーが橋梁点検用ドローンを開発したほか、愛三工業がエンジンハイブリッドドローンの実証を進めるなど、自動車部品メーカーを中心とした参入事例が増えています。
EVシフトと新たな活路としてのドローン産業
自動車産業ではEVシフトが加速し、従来の内燃機関(ICE)向け部品の需要は減少傾向にあります。
その中で、多くの自動車部品メーカーが、電動化技術を応用できる新たな市場としてドローン分野に注目しています。
ドローンの部品製造は、モーターやバッテリー制御といった電動化技術が活かせるため、既存の生産ラインや技術ノウハウを活用できる点が強みです。今後、国産部品の普及により、ドローンの品質や安全性の向上が期待され、海外市場への輸出も視野に入るようになります。
資本参加と人材交流による産業強化
部品の供給にとどまらず、大手製造業がドローンメーカーへの資本参加を進める動きも広がっています。
2023年には JTEKTがプロドローンへ出資、2024年には エクセディがイームズロボティクスへ出資。
出向人材を通じて、認証制度対応や製造ノウハウの移転が行われています。
これにより、従来の小規模事業者が抱えていた「認証対応力の不足」「量産体制の弱さ」といった課題が補完され、国産ドローンの競争力強化につながることが期待されています。
今後の展望
・国産部品の量産化によるサプライチェーンの安定化
・認証制度対応のノウハウ移転による品質保証力の強化
・海外市場を視野に入れた輸出型産業への成長
ドローン産業は、スモールビジネスから大手製造業の参入によって、「国産化」と「産業化」のフェーズへ進みつつあります。
日本のものづくりの強みが、次世代の空の産業を支える柱になる可能性は大きいです。
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